2008年度 九州・西日本支部 若手セミナー



「超電導材料・線材の臨界電流とその応用」

本セミナーは、大学や企業の若手研究者や技術者を対象とし、低温
技術や超電導技術の基礎を理解してもらうことを目的として開催す
るものです。

今回は、超伝導材料及び線材の臨界電流に焦点をあて、前半では電
磁現象と材料・線材面からの解説や最先端の研究についてまとめ、
後半では超電導マグネットや送電ケーブルへの応用技術について基
礎的な内容を含めて講義を行っていただきます。この機会に支部会
員にかかわらず、多数の若手を含む研究者・技術者が参加され、こ
の分野での知識や交流を深められ、新たな視点による研究・技術の
展開に寄与することを期待します。


主  催: 低温工学協会 九州・西日本支部
日  時: 2008年9月10日(水) 14:10 〜 12日(金)12:00
場  所: 山口大学工学部 D講義棟
     〒755-8611 山口県宇部市常盤台2-16-1

日  程:
9月10日(水) 
   14:10〜14:15 開会の挨拶 松下照男支部長(九州工業大学) 
   14:15〜15:45 講義「超電導体における磁束ピンニング機構と電磁現象」
            松下 照男(九州工業大学)
   16:00〜17:30 参加者(グループ)による自己紹介等
   17:40〜     懇親会
9月11日(木)
   10:30〜12:00 講義「超電導材料・線材の臨界電流特性」 松本 要(九州工業大学)
   13:30〜15:00 講義「超電導線材から超電導マグネット 」 淡路 智(東北大学)
   15:20〜16:50 講義「超電導技術の応用 〜送電ケーブル〜」 本庄 昇一(東京電力)
9月12日(金)
   9:00〜12:00 見学会 宇部コンビナート内工場見学
           見学先に見学者の名簿を提出する場合があります。

定  員: 40名
参 加 費: 正会員及び大学院生 7,000円、非会員 10,000円
     (テキスト代、懇親会費等を含みますが、宿泊費は含みません。
     同時に学会入会申込みの方も正会員とみなします)。
申込締切: 2008年8月6日(水)但し、定員に達し次第締め切ります。
申込方法:参加 申込書にご記入の上、下記事務局宛にファックスもしくは
        電子メールにてお送り下さい 。
        低温工学協会 九州・西日本支部 事務局 (九州大学 木須研究室内)
        Tel:092-802-3678     Fax:092-802-3677
        E-mail:jcryo_qw@sc.kyushu-u.ac.jp
参加費振込先: 福岡銀行 黒門(クロモン)支店(店番215)
        口座番号:普通 1612494
        口座名義:低温工学協会 九州西日本支部 事務局 会計幹事 木須 隆暢
問合せ先: 2008年度 九州・西日本支部 若手セミナー 幹事
        山口大学 工学部 原田直幸
        Tel:0836-85-9476 E-mail:naoyuki@yamaguchi-u.ac.jp
        九州工業大学 情報工学部 小田部荘司
        Tel:0948-29-7683 E-mail:otabe@cse.kyutech.ac.jp



九州・西日本支部若手セミナー報告




低温工学協会九州・西日本支部では、大学や企業の若手研究者や
技術者を対象として、毎年、超電導技術や低温工学の基礎を理解し
ていただくことを目的として若手セミナーを開催しています。第8
回目となる今回は、2008年9月10日(水)から9月12日(金)の3日間、
宇部市の山口大学工学部において開催され、講師4名、大学院生23
名、教員3名の合計30名が参加しました。「超電導材料・線材の臨
界電流とその応用」というテーマのもと、講義、工場見学、懇親会
が行われました。

1日目は、九州工大の松下照男先生から「超電導体における磁束ピ
ンニング機構と電磁現象」と題して、量子化磁束の構造やその運動
をはじめ、ピンニングの機構や理論、さらに不可逆磁界などの電磁
現象まで、豊富な図と数式をもとに講義が行われました。また、
「低温工学」で連載されている基礎講座への質問を受付けているこ
とも紹介されました。講義の後は、研究グループ毎に参加者の自己
紹介が行われ、研究活動のほかに研究室のイベントなども紹介され、
活発に質問が交わされました。1日目の最後に懇親会が開かれ、講
師の先生との交流も行われました。

2日目の午前中は、九州工大の松本要先生から「超電導材料・線材
の臨界電流特性」と題して、超電導の基礎的な現象から金属系超電
導体をはじめとして超電導材料の微細組織とピン止め機構、最新の
ピンニングセンターの導入について講義が行われました。午後は、
応用に関して東北大の淡路智先生と東京電力の本庄昇一先生から講
義が行われました。淡路先生は、「超電導線材から超電導マグネッ
ト」と題して、超電導マグネットの位置づけ、超電導線材の必要な
機能と構造について説明され、バルク磁石、液体ヘリウム冷却超電
導マグネット、無冷媒超電導マグネットの特性や構造について講義
されました。本庄先生は、「超電導技術の応用〜送電ケーブル〜」
と題して、電気事業を取り巻く環境や地中送電設備について説明さ
れ、超電導ケーブルのメリットや実証プロジェクト、損失の低減に
関して講義されました。講義を重ねるごとに参加者から講師への質
問も活発に行われるようになり、予定時間をオーバーすることも度々
ありました。

3日目の工場見学では、宇部興産(株)と(株)パワー・エンジニアリ
ング・アンド・トレーニングサービス(PET)を訪問しました。宇部
興産(株)では、最初に「UBE−i−Plaza」を見学し、製品
が我々の生活に幅広く用いられていることを知ることができました。
その後、バスで工場内を移動し、セメント工場のセメントキルン
(http://www.ube-ind.co.jp/japanese/rd/cements.htm)の煙突上部
で、工場全体の説明を受けました。残念ながら、曇り空のため対岸
の九州北部の景色を望むことはできませんでしたが、90メートルの
高さから宇部興産をはじめとする宇部コンビナートの全容を知るこ
とができました。次に、(株)パワー・エンジニアリング・アンド・
トレーニングサービス(http://www.energia-pet.co.jp/)にバスで
移動し、実際に使用されていた火力発電所の設備を利用した研修施
設をはじめ、発電機やタービンのカットモデル、ボイラーの内部を
見学しました。ここでは参加者の多くが大学の講義で学んできてい
る発電に関する設備や機器を身近に見学することができ、貴重な経
験となりました。

最後に、お忙しいところ快く講師をお引き受けくださった先生方、
見学の機会を与えていただきました宇部興産(株)、(株)パワー・エ
ンジニアリング・アンド・トレーニングサービスの皆様に深くお礼
申し上げます。


    (山口大学 原田)



講義の様子


宇部興産の見学


Last modified: Wed Apr 18 08:57:55 JST 2007