九州・西日本支部 2015年度総会・企業セミナー 開催案内



2015年度の九州・西日本支部総会・講演会を下記のように開催いたします。
支部会員各位は是非ご参加下さいますようお願い申し上げます。
なお、支部会員には別途総会開催案内を電子メールにてお送りします。
ご欠席の場合には必ず委任状をご返送下さいますようお願いいたします。

         記

日 時: 2015年4月24日(金)
場 所: 九州大学伊都キャン パス内 椎木講堂 大会議室
    〒819-0395 福岡市西区元岡744    
    
(1)総会: 14:10〜14:40
  1.2014年度事業報告・決算について
  2.2015年度事業計画・予算について
  3.その他

(2)企業セミナー: 15:00〜17:00
  1.「超伝導ケーブルの開発動向」
    古河電気工業 株式会社    向山晋一 氏

  2.「伝導冷却REBCO超伝導コイルの開発」
    株式会社 東芝          宮崎寛史 氏

(3)懇親会: 18:00〜20:00
   (場所は、福岡市内中心部を予定しています。懇親会場へはバスで移動します。)


問合せ先:公益社団法人 低温工学・超電導学会 九州・西日本支部 事務局
〒819-0395 福岡市西区元岡744
九州大学大学院 システム情報科学研究院
電気システム工学部門 木須研究室内
TEL: 092-802-3678  FAX: 092-802-3677
E-mail: jcryo-qw(at)sc.kyushu-u.ac.jp

当日の報告



九州・西日本支部第14回総会を2015年4月24日(金)午後2時10分より九州大学伊都キャンパス内
椎木講堂大会議室にて開催した。冒頭、出席者数と委任状の数より総会が成立していることが報告
された。そして議長に迫田浩一氏を選出した。鈴木孝至副支部長の開会の挨拶のあと、続いて議事
として、2014年度事業報告、会計報告、ならびに監査報告がなされ、全会一致でこれらは了承され
た。続いて、2015年度支部事業計画、2015年度予算案が諮られ、それぞれ全会一致で承認された。
総会に引き続き、午後3時より2名の講演者をお呼びして企業セミナーが行われた。司会は九州大学
の岩熊成卓先生で行われた。
最初は「超伝導ケーブルの開発動向」と題して古河電気工業株式会社の向山晋一氏からご講演をいた
だいた。超伝導ケーブルの実証研究の実施状況について紹介された。Bi系線材を使用した・・・・。
NEDOのプロジェクトで第2世代の線材を用いた超伝導ケーブルを使用したケーブルの開発結果につい
て説明された。第2世代は大電流が流せ,交流損失も低減できた。古河電工275kVのケーブルを開発
し瀋陽で30mケーブルの試験を実施した。安全性・信頼性に対する実証試験まで行われた。鉄道で使
用する直流き電線やデータセンター内で使用する直流ケーブルの開発も行われている。直流ケーブル
の特徴的な点は、1kV程度の低電圧でありながら電流容量が大きいことから大容量の電力送電が可能
であるという点という説明があった。またY系線材の構造や基礎特性について説明された。またフライ
ホイールや発電機の開発状況についても紹介された。
質問では、ケーブルの試験を瀋陽で実施したのはなぜかや,フライホイールはどうして始めたのかと
いったものがあった。中国では電力インフラを活発に建設しており,超伝導ケーブルの使用も検討さ
れるという観点から,中国で実証試験を行った。コストなどの面からまだ実用化の計画は進んでいな
いが関心はもってもらっているとのことであった。フライホイールに関しては,電力の出し入れを繰
り返し行う用途は多いので,そういうものをできるかぎり低コストで開発したいという意図であると
いうことであった。
次に「伝導冷却REBCO超伝導コイルの開発」と題して株式会社東芝の宮崎寛史氏からご講演をいただ
いた。伝導冷却型REBCO超伝導コイルの設計をどういう観点で進めていくかの説明があり,おおよそ
の構造について解説いていただいた後,主に冷却について解説いただいた。電流リードと冷却系を切
り離すことができるようにした浮上コイルについて説明された。浮上中の温度上昇速度をいかにゆる
やかにすることが重要なポイントであった。次に東北大学の25T無冷媒マグネットの開発について説
明いただいた。漏れ磁場が大きいために冷凍機をマグネットから離す必要があった。このため,ヘリ
ウムガスを循環させる冷却システムを採用した。この場合,ヘリウムガスの流量が大切なパラメータ
であるので,いくつか条件を変えて最適条件を決定した。輻射シールドレスコイルの開発について説
明いただいた。構造を簡略化したいという要求に応える目的で開発されている。このコイルでは,固
体断熱層を介してケースで覆う構造としており,このケースが実質的に輻射シールドの役割を果たし
ている。このコイルを効率的に冷却するために,コイル内の温度差がつかないような構造としている。
実際に試験まで行って,うまく冷却できることが確かめられた。このコイルの温度コントロールのポ
イントは,ケースとコイル間の熱抵抗をいかにコントロールするかということであった。高温でも臨
界電流が高い線材が使用できるようになれば,単段冷凍機で輻射シールドを使わないようなシンプル
な構造の伝導冷却コイルが可能になるとのことであった。質問では,東北大学の開発中のマグネット
の状況について質問があった。順調であるとのことであった。運転電流は臨界電流に対してどのくら
いかという質問があった。20Kで9割くらいであるので,5K程度の運転温度では問題ない。むしろLTS
マグネットがクエンチした場合が問題であるとのことであった。無冷媒コイルは海外でも注目されて
いるかという質問に対しては,資源として「ヘリウム」の供給が潤沢にある国では,現状ではあまり
注目されていないようであるが,長い目で見ると,ヘリウムフリーは強みになると考えているとのこ
とであった。また発熱分布がある中でどのように温度分布を均一にしようとするのかという点につい
ては,熱抵抗が小さなものを発熱の大きな部分に充てるという考え方ということであった。このセミ
ナーには多数の参加をいただき、参加者は講師を含めて55名であった。