H24年度 外国人著名研究者による特別講演会

米国標準技術局(NIST)よりEkin先生をお招き致します。Ekin先生
は、超伝導線材の歪特性試験をはじめとする極低温計測技術に関す
る世界的第一人者として知られています。このたび、国際標準事業
における超伝導材料に関する作業部会(VAMAS-TWA16)の招きによっ
て日韓を訪問される事から、お忙しいスケジュールの合間をぬって、
九大での講義をお引き受け頂くことが出来ました。近年では、高温
超伝導線材の本格的な機器応用への開始に伴って、超伝導線材性能
試験の標準化の重要性が改めてクローズアップされています。

本講義では、低温実験でトラブルやミス、誤差の原因となる見過ご
されがちな落とし穴と、それを未然の防ぐための計測評価技術につ
いて実例を交えて分かり易くご紹介頂けます。低温実験や超伝導分
野の研究者、学生の皆さんは勿論のこと、幅広い分野の方を対象と
した内容となっております。どなたでもご参加できます。ご参集下
さい。

※車で来学される際には、ゲートでの入構手続きの際に本開催通知
をお示し下さい。入構料が免除されます。

日時:2012年6月22日(金) 14:50〜16:20
場所:九州大学 大学院システム情報科学研究院 302講義室(ウエスト2号館3階)
   〒819-0395福岡市西区元岡744 伊都キャンパス
共催:VAMAS-TWA16
   九州大学超伝導システム科学研究センター
   応用物理学会九州支部

Problems and mistakes in cryogenic measurement

Jack Ekin
National Institute of Standards and Technology, Boulder, CO 80305 USA

Failures are sometimes more instructive (and entertaining)
than successes. Usually these do not get publicized, and,
as a result, they are often repeated. In that spirit, I
share a few of my prime examples, as well as the lessons
learned. Based on the text Experimental Techniques for Low
Temperature Measurements,1 a brief overview is given of how
(and how not) to design a measurement cryostat, as well a
few of the obvious (and less obvious) experimental pitfalls
to be avoided. Materials selection is one of the more
critical elements, and in that vein, a free website
(www.ResearchMeasurements.com) has been created with over
ten thousand annotated cryogenic materials data entries that
can help simplify this task.

1Oxford University Press 2006, 2007, 2011

    問い合わせ先: 木須 隆暢
        九州大学 大学院システム情報科学研究院
        Phone : 092-802-3686, Fax : 092-802-3677
        E-mail: kiss@sc.kyushu-u.ac.jp


実施報告

九州・西日本支部H24年度 外国人著名研究者による特別講演会実施報告

Problems and mistakes in cryogenic measurement

Jack Ekin
National Institute of Standards and Technology, Boulder, CO 80305 USA

Failures are sometimes more instructive (and entertaining)
than successes. Usually these do not get publicized, and, as
a result, they are often repeated. In that spirit, I share a
few of my prime examples, as well as the lessons
learned. Based on the text Experimental Techniques for Low
Temperature Measurements,1 a brief overview is given of how
(and how not) to design a measurement cryostat, as well a
few of the obvious (and less obvious) experimental pitfalls
to be avoided. Materials selection is one of the more
critical elements, and in that vein, a free website
(www.ResearchMeasurements.com) has been created with over
ten thousand annotated cryogenic materials data entries that
can help simplify this task.

1Oxford University Press 2006, 2007, 2011

日時:2012年6月22日(金) 14:50〜16:20
場所:九州大学 伊都キャンパス 大学院システム情報科学研究院 302講義室
共催:VAMAS-TWA16
九州大学超伝導システム科学研究センター
応用物理学会九州支部
参加費:無料
参加者数:39名
世話役:木須 隆暢(九州大学 大学院システム情報科学研究院)

上記の通り、本年度は、米国標準技術局(NIST)よりJack Ekin先生
をお招きし、"Problems and mistakes in cryogenic
measurement(低温実験における落とし穴)"と題した特別講演会を
開催しました。Ekin先生は、超伝導線材の歪特性試験をはじめとす
る極低温計測技術に関する世界的第一人者として知られています。
このたび、国際標準事業における超伝導材料に関する作業部会
(VAMAS-TWA16)の招きによって日韓を訪問される事から、お忙しい
スケジュールの合間をぬって、九大での講義をお引き受け頂くこと
が出来ました。本講義では、低温実験でのトラブルやミス、誤差の
原因となる見過ごされがちな落とし穴と、それを未然の防ぐための
計測評価技術について、Ekin先生の有名な著書であるExperimental
Techniques for Low Temperature Measurementsをテキストに、実例
を交えて分かり易くご紹介頂きました。本書は、筆者の大学院の講
義でも一部参考図書として用いていますが、本書の執筆・完成には
7年の歳月を有したとの事です。本分野の振興に対するEkin先生の
ご尽力に改めて深い感銘を受けました。本書の低温材料に関する有
用なデータベースが以下のサイトで無料で公開されています。

http://www.ResearchMeasurements.com/ 低温材料と設計に関するデータベース(113枚のグラフと71の表から構成)

当日は、九大、九工大、大島商船高専、NIMSより39名の参加者が
ありました。参加者のほとんどが低温実験に実際に携わっているこ
ともあり、90分の授業もあっという間で、大変有益なセミナーだっ
たとの声を多くの方から聞くことができました。講義終了後も質問
に対して熱心に説明されるEkin先生の姿が大変印象的でした。最後
になりましたが、VAMAS-TWA16をはじめ共催各機関担当者に御礼申し
上げます。

文責:木須隆暢(九州大学)